布施1、布施2、八色石と銭宝地区の各集落にまたがる高野山。春夏秋冬と様々な顔を見せながら、遠い昔からこの銭宝地区を見守ってくれています。杉や桧の林の所々に、江戸時代よりこの地区で盛んだった“たたら製鉄”の面影も残しています。
昔は山菜や茸、薪や炭焼き、製鉄…と生活の中心であった高野山も、時代が変わり、山に入る人も少なくなりました。その結果、イノシシが里に下りてきて田畑を荒らす被害が増えました。
平成25年度より山頂付近の木の伐採、ステップの設置、草刈りなど、高野山の登山道整備を進め、現在、銭宝地区の3集落それぞれから山頂を目指す登山道ができました。東、南、北の斜面にある登山道は、それぞれ植生、雰囲気、景色も違い、個性豊かな各ルートで山頂までの道のりを楽しめます。平成27年度には、山頂にある3本の松の木を柱に展望台を作り、高野山に多く見られるイロハモミジの苗を南側斜面に植樹しました。
これまで、高原小学校児童の課外授業や親子登山会、地元出身者との交流登山を開催し、今後も自然観察登山会などを計画しています。また平成26年10月には、朝日新聞のコラム「ちょっと里山」で高野山が紹介され、「“熊の腰かけ”と書かれた札のそばに、巨石にまたがった大木があり、今にも動き出しそうな様子」「街並みと刈り入れが済んだ水田を眼下に、県境に向かって里の山々が波打つよう」等と紹介されました。
四季折々の姿を見せてくれる高野山、生活の中心であった頃より時代は大きく変わりましたが、散策道を整備することで、多くの人がまた山に足を運び、高野山の豊かな自然を次の世代へと繋げていけたらと思います。